初恋のキミは最愛ヒーロー
きっと、紅月くんが不良グループと絡んでるなんて言ったとしても、信じる人はいないだろうな。
普段の柔らかい印象とは、全然違うから。
立ち止まって、後ろを振り向く。
楽しそうに女の子たちと話す姿を見ていると、不意にこちらを見た紅月くんと目が合った。
「………っ…」
慌てて視線を逸らした私。
ぎこちなく背を向けて教室へと歩き出した。
び、ビックリした……。
何だったんだろう、今の目が合った時の不敵な笑みは…。
「莉彩ちゃん、どうしたの?」
「ううん、何でもない」
不思議そうな表情の紫葵ちゃんに、私はフルフルと首を横に振った。
何か言いたげな顔をしてるような気もしたけれど、さすがに考えすぎだよね…。
紅月くんが私に話したいことなんて、何も無いだろうし。
きっと、気のせいだ。
心の中で頷きながら、2組の教室へと向かった。