初恋のキミは最愛ヒーロー
「あれ?お、おかしいなぁ…」
マンションを出て暫く歩くと、銀杏並木のオシャレな商店街が見えて来るはずなのに…。
ここは、閑静な住宅街。
辺りを見回しても銀杏並木なんて、どこにもない。
もしかして、道に迷った…?
去年の秋に編入試験を受けに来た時、お母さんが、高校からマンションまでの道を車で通ってくれたから、ちゃんと記憶したつもりでいたんだけどな…。
一応、昨日の夜も地図を見て確認しておいたのに。
「…………」
とりあえず、ここはスマホに頼ろう。
地図アプリを使えば、現在地も高校までの道のりも全部教えてくれるし…。
スマホを取り出すべくスクールバッグを開けた私は、目を見開いた。
うそっ…。
スマホが無い!?
手を突っ込んで、よく探してみるものの、姿は見当たらない。
「家に忘れてきちゃった……」
体からサーッと血の気が引いていくのを感じた。