初恋のキミは最愛ヒーロー
「どうして、そんなことするの…?」
「アイツを孤立させるため。黒河内なんか、みんなから嫌われればいい」
「ひ、酷いよ……」
身勝手な理由で、そんな手の込んだことをするなんて。
「俺よりも酷いのは黒河内だろ?俺が大切にしてた居場所も友達も、アイツが全部奪ったくせに」
まただ…。
この悲しそうな目。
壱夜くんを“悪魔”と言っていた時と同じ…。
「それって、どういう……」
頭の中に疑問符を浮かべながら訊ねようとした瞬間、バンッと勢いよく扉の開く音が資料室に響く。
入り口に視線を向けた私は、目を見開いた。
「い、壱夜くんっ…」
少し呼吸が乱れているらしく、肩が上下に小さく揺れている彼。
冷たく鋭さを宿した目は、紅月くんに注がれていた。
「碧瀬に何してんだよ」
「今、俺ら取り込み中なんだけど。邪魔だから消えてくんない?」
ニヤリと笑う紅月くんに不快感を滲ませていると、壱夜くんは足早に私たちの傍にやって来る。
そして、私の両手を拘束していた紅月くんの手を強引に引き剥がした。