初恋のキミは最愛ヒーロー
「それより、ここが少し赤くなってるけど大丈夫なのかよ」
視線が注がれているのは、私の手首。
さっき、紅月くんに強めに掴まれてたからだ…きっと。
「うん、全然平気!」
ニコリと笑ったけれど、壱夜くんは苦しげに眉を寄せていて、なんだか切なそうに見える。
「碧瀬、やっぱり……」
「“俺と関わらない方がいい”って言おうとしてる?」
私の腕を掴む壱夜くんの指先が僅かに反応する。
どうやら、図星だったようだ。
「なんとなく、そんな気がしたの。壱夜くんは優しい男の子だから」
多分、私に危害が及ばないためにも、自分から遠ざけるのが一番いいと思ってるんだろう…。
「でも、関わらないなんて私には無理。壱夜くんと居ると毎日がキラキラ輝いていて、とても楽しいんだもん」
「だけど…」
「私は大丈夫!次回から紅月くんとか不良たちに何かされそうになったら、全速力で逃げてみせるから!こう見えて意外と逃げ足は速いんだよ、私!」
片足をヒョイと上げると、壱夜くんはフッと吹き出すように笑った。