初恋のキミは最愛ヒーロー
土地勘が全くない場所だから、やみくもに歩くのは危険すぎる。
高校に辿り着けないどころか、昨日みたいに不良たちの溜まり場に足を踏み入れたりしてしまうかもしれない。
やっぱり、来た道を引き返してマンションに戻るのが一番だよね。
「はぁ……」
何やってるんだろう、私…。
ガクリと肩を落とした、その時。
「そこ、退いてくんない?邪魔なんだけど」
突然、苛立ちを含んだ声を掛けられて振り向く。
涼しげな切れ長の目が印象的な、整った顔立ち。
漆黒の髪が太陽の柔らかい光を浴びて、艶やかに輝く。
「あーっ!!あなたは……」
昨日の救世主、ヨルさん…。
こんなに早く再会するとは思ってなかっただけに、口を大きく開けたまま固まってしまった。
「うるせぇな。朝っぱらから声がデカ過ぎ。近所迷惑になるだろうが」
ヨルさんは鬱陶しそうに眉をひそめる。