初恋のキミは最愛ヒーロー
「今日の弁当、何?」
みんなで座ったところで、壱夜くんは私に視線を向ける。
「ほうれん草とベーコンの炒め物とミートボールとミニトマト、あとは普通のご飯だよ」
お弁当箱のフタを開けると、その中身をジーッと見つめられた。
「これも、お前が作ったわけ?」
「うん。一応、毎日作ってるよ」
「朝から手の込んだもの作ってんだな」
「ミートボールは昨日の夕飯に作った残りを入れただけだし、ほうれん草とベーコンも適当に炒めたものだから、そんなに時間は掛かってないよ」
「ふーん」
以前は、私がお弁当を広げていても見向きもしなかったのになぁ…。
感心したように頷く姿を見て、ニコリと笑った。
壱夜くんが、お弁当のことで話し掛けてくるようになったキッカケは、バレンタインに渡した手作りチョコレート。
味を気に入ってくれたらしくて、そこから私の作るものに興味を持ってくれてるみたいなんだ。