初恋のキミは最愛ヒーロー

「あの、良かったら…ミートボール食べる?多めに入れてきちゃったから」


「えーっ、マジで?それじゃあ、お言葉に甘えて…」


壱夜くんに話したつもりだったけど、なぜか神楽くんが反応して目を輝かせる。


ミートボールに刺してある星型のピックを取ろうとして手を伸ばしてきたけれど、次の瞬間…壱夜くんがペシッと叩いた。


「今のは、桃舞に言ったわけじゃねぇんだよ」


「でも、俺も莉彩ちゃんのミートボール食べたいし」


「却下。俺のだから」


「えーっ」


神楽くんは不服そうに口を尖らせる。


だけど、壱夜くんは取り合うことなく、ミートボールを口へと運んだ。


「美味い」


少し口元が緩んで、ポツリと呟かれた一言。


私にとって、とびきり嬉しい感想だ。


バレンタインチョコも“なかなか美味かった”って言って貰えたし、料理の評価は良い感じかも…。


男の人の胃袋をつかむのは大事って聞いたことがあるし、もっと料理の腕を磨いておこう…。


心の中で密かに気合いを入れた。


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