初恋のキミは最愛ヒーロー
「そう言えば、あの時…紅月くんが話してた3つの言葉に何か心当たりがあるみたいだったから、記憶を辿りながら復讐の理由を詳しく分析してるのかもしれないね。でも、一体…誰と連絡を取り合ってるんだろ?」
中学時代の同級生?
それとも、空手仲間とか?
頭の中で候補を並べていると、神楽くんがパチパチと瞬きを繰り返した。
「莉彩ちゃん、今の“3つの言葉”って言うのは……」
「ほ、ほら……“中学2年、蒸し暑い夏の夜、黒いメッシュを入れた赤髪の男”っていう言葉のことで…」
私は、話を途中で止める。
なぜなら、神楽くんが心底驚いたような表情に変わったからだ。
「か、神楽くん…?」
「ごめん、その辺りの話…俺は壱夜から聞いてない。紅月が実は不良だったとか、アイツが壱夜の噂を広めてたっていうのは聞いてたけど」
てっきり、全部聞いてるものだと思ってた。
ビックリするのと同時に、ふと疑問が浮かぶ。
「どうして、壱夜くん……話してないんだろう?神楽くんには打ち明けそうなものなのに…」
首を傾げると、神楽くんは自分の左腕を強く掴んだ。