初恋のキミは最愛ヒーロー

「“言うべきことじゃない”って判断したんだよ」


「えっ…?」


「また巻き込むわけにはいかない…とか思ってるんだろうな、壱夜のヤツ。だから、隠してるんだ」


神楽くんは表情を曇らせて苦笑いをした。


「壱夜が責任感じる必要なんてないのに。あの事態を招いたのは、俺のせいなんだから…」


「それって……」


どういうことなんだろう…?


訊ねようとした途端、入り口の扉が開いて壱夜くんが戻ってきた。


「い、壱夜くん……おかえり」


「ああ」


「……………」


今の今まで壱夜くんのことを話してたから、なんだか気まずい…。


私も神楽くんも、その先の言葉が出なくて黙っていた時。


壱夜くんが“クシュンッ”と音を立てて、2回連続で大きなくしゃみをした。


「壱夜くん、大丈夫…?」


「平気」
 

淡々と答えつつも、また…くしゃみをする壱夜くん。


そう言えば、今朝から少し鼻声だったような気が…。


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