初恋のキミは最愛ヒーロー
「壱夜、風邪…ひいたんじゃねぇか?寒気は?念のため、早退して病院に行った方が…」
「桃舞は大げさなんだよ。熱はないし、少し風邪っぽいだけなんだから、早退なんてする必要は……」
「お前、中1の時も同じようなこと言ってたけど、あの後に風邪をこじらせて入院したじゃねぇか。もともと体が弱かったんだろ?だったら、もっと用心しろよ」
壱夜くんは、鬱陶しいと言わんばかりに眉をひそめる。
「……ったく、母さんと同じようなこと言いやがって」
「えっ!?壱夜のお母さん、帰って来てんのか?」
「違ぇよ、国際電話。さっきの着信、母さんだったんだよ」
「なんだ、そうだったのか」
壱夜くんのお母さん…?
国際電話?
彼らの会話に置いてけぼりを食らっていると、壱夜くんが私に視線を向けた。
「俺の母さん、服飾の仕事で海外に行ってるんだよ。たまにしか帰って来ないけど、よく電話は掛かってくる」
か、海外でお仕事…!?
壱夜くんのお母さん、すごいな…。