初恋のキミは最愛ヒーロー
「それじゃあ、今は…お父さんと二人暮らし?」
「まあ、そんなところ。でも、父さんは出張が多いし、帰りも遅いから、一人暮らしみたいな状態が殆どだけどな」
「大変だね…」
「別に、俺は…そんな風に思ってない。むしろ、両親には感謝してる」
少し照れくさそうな顔で話す壱夜くんに笑みが零れる。
私も、お母さんの帰りが遅いことが多いから、色々と家事のお手伝いしてるけど、大変だと思ったことは無いや…。
いつも、家庭も仕事も全力で頑張ってるお母さんに、感謝の気持ちでいっぱいだから。
「碧瀬の顔、なんか…ニヤけてるんだけど」
「今の言葉に共感しちゃって…。それに、壱夜くんが家族のことを話してくれたのが嬉しかったの」
少し前までの壱夜くんなら、“アンタには関係ない”とか言って、私に何も話さなかっただろう。
それを思えば、意識しなくても自然に頬が緩んじゃうよ。