初恋のキミは最愛ヒーロー
「お節介だな、お前ら」
「でも、それが私の長所だって、壱夜くん…言ってくれたでしょ?」
「そんな風には言ってねぇよ。だけど……ありがとな、心配してくれて」
呟かれた声に胸が温かくなるのを感じながら、神楽くんと顔を見合わせて微笑んだ。
「んじゃ、今日は桃舞の言うとおり、病院に寄って家で休んどく」
「おう。担任は俺が説明を…」
「いや、それは俺が自分で話してくる。だから、お前は碧瀬のことを頼む。くれぐれも紅月には警戒しとけよ?」
「ああ、分かってる」
風邪で調子が悪いのに、私のことを気に掛けてくれるなんて…。
こんな時に不謹慎だけど、嬉しい…。
ドクンと鼓動が波打つのを感じていると、壱夜くんは私に視線を向けた。
「そういうわけだから、今日は桃舞と帰れ」
「壱夜くん、お大事にね」
「これぐらい大したことねぇよ。じゃあな」
「うん、またね」
屋上を出て行く壱夜くんに向けて手を振った。
体調が悪い時は休養が一番だし、ゆっくり休んでもらいたいな…。
早く回復しますように…。