初恋のキミは最愛ヒーロー
理由へと繫がる過去
「莉彩ちゃんと二人きりで帰るのって、なんか新鮮」
「そうだね…」
放課後。
私は、教室まで迎えに来てくれた神楽くんと一緒に学校を出た。
最近は、3人で帰るか、壱夜くんと帰るかのどちらかだったから、このパターンは初めてだ。
「壱夜くん、大丈夫かな…」
「病院にも行っただろうから、安静にしてれば直ぐに元気になるよ、きっと」
柔らかい微笑みを向けられた私は、小さく頷いた。
「それにしても、夕方になったら急に冷え込んできたよね。俺らも風邪ひかないように気を付けないとね」
コートのポケットに手を突っ込んだ神楽くん。
大きく息を吐いた後、表情を曇らせた。
「昼休みの時、ごめんね。莉彩ちゃんからすれば、俺の言ってたこと、訳が分からなかったでしょ」
もしかして、紅月くんの言葉を話した後のことかな?
その時の光景を頭の中に浮かべていると、神楽くんはオレンジ色に染まる空を見上げた。
「あれは、中2の7月。とても蒸し暑い夜のことだった…」