初恋のキミは最愛ヒーロー
「そんなことないよ。莉彩ちゃんのおかげで少し心が軽くなった。ありがとう」
「神楽くん……」
「あの時のこと、実は、今まで…あまり触れないようにしてきた。壱夜に負わせちまった苦しい気持ちや辛い気持ちを抉ることになるんじゃないか…と思ったら、口にすることなんて出来なかった」
もしかしたら、壱夜くんも…思っていることは神楽くんと一緒なのかもしれない。
だから、紅月くんが話していた3つの言葉を隠していたんだろうな…きっと。
「これを機に、思い切って壱夜と話してみるよ。俺がずっと抱いてきた気持ちと、莉彩ちゃんの言葉を受けた後の素直な気持ちを」
「うん…」
「あと、紅月のことも。あの時の出来事が絡んでるんだったら、尚更…アイツにだけ背負わせるわけにはいかねぇから」
力強い眼差しを向ける神楽くん。
ゆっくりと歩き出す彼の後に続いた。