初恋のキミは最愛ヒーロー
「あの事件の後も、ずっと俺や壱夜のことを気に掛けてくれていてさ、たまに飯に連れて行ってくれたり、街で会った時は声掛けてくれて、お互いの近況を話したりしてる。俺や壱夜にとっては、優しくて頼もしい兄貴みたいな存在なんだ」
「そっか。衛佑さんなら、不良グループのこととか、紅月くんとの関係に繫がる情報を、何か知っているかもしれないね」
警察署で赤髪の男から色々と事情を聴いただろうし…。
「うん。だから、ちょっと俺も連絡とってみるよ」
ニコリと笑う神楽くんに、私も表情を和らげる。
話をしながらの帰り道はあっという間で、気付けば私の住むマンションの前までやって来ていた。
「一緒に帰ってくれて、ありがとう」
「こちらこそ、昔の話を親身になって聞いてくれて、ありがと。また明日!」
「うん、またね」
私は手を振って、徐々に遠ざかって行く神楽くんの後ろ姿を見送った。