初恋のキミは最愛ヒーロー

なんだろう、今の…。


これまで経験したことないような不思議な感覚に戸惑いながら、胸元に手を当てた。


「……ったく、仕方ねぇな。だったら俺の後についてくれば?」


「えっ…」


「どうやら、アンタと俺の行き先は同じみたいだし」


黒色のコートを着ているヨルさんは、自分のズボンを指でつまむ。


グレーに近い青系のズボンは、よく見るとチェック柄になっていた。


「一緒の高校なんですね…!」


「残念ながら、そうみたいだな。ほら、行くぞ」


面倒くさそうに返事をしたヨルさんは、スタスタと歩き出す。


その背中を追う私。


だけど、ヨルさんの歩くスピードが速くて、徐々に距離を離されていく。


このままだと見失う可能性が…。


でも、道を案内してもらってる立場で“ゆっくり歩いて欲しい”なんて言いにくい…。


そんなこと言ったら、“じゃあ、勝手にしろ”とか不機嫌そうに吐き捨てて、置いていかれそうだし。


私が頑張ってついて行かなくちゃ。


数メートル先の角を曲がったヨルさんを駆け足で追いかける。


角を曲がった途端、ドンッと何かにぶつかった。


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