初恋のキミは最愛ヒーロー
「とりあえず、礼は言っとく。だけど、さっきみたいな無茶をするのは絶対にやめろ」
今回は成功したから良かったものの、かなりの危険行為だ。
もし、あの場面で嘘だと奴らに気付かれてしまえば、碧瀬たちは危なかったかもしれない。
最悪の場合、ケガをさせていた可能性もある。
俺のせいで、また……
拳を握ると、桃舞が俺の肩をペシッと軽く叩いた。
「それは、こっちのセリフだ。紅月のこと、一人で解決しようと無茶しやがって」
「余計な心配を掛けたくなかったんだよ」
「……理由は、それだけじゃないだろ?」
真剣な眼差しが俺を捉える。
「あの時の出来事を思い出させたくなかったのと、俺を危険な目に遭わせたくなかったから…だよな?」
ドクンと心臓が鋭く跳ね上がった。
「……あの3つの言葉、碧瀬から聞いたのか?」
「ああ。お前の様子が少し変だっていう話をしてた時に。莉彩ちゃんは俺が知ってると思って話したんだから、怒ったりすんなよ?」
「……そんなことしねぇよ」
碧瀬が悪いだなんて、さすがに思わないし。