初恋のキミは最愛ヒーロー
私たち、友達になろうよ
「状況は、大体分かったよ」
「兄貴、今回のことは…」
「ああ。些細なことが原因の喧嘩で、最終的には…お互い和解して終わったってことで、報告しておく」
「ありがとうございます、衛佑さん」
「ケガ人もいないし、不良たちのやろうとしてたことは未遂に終わったようだから、今日は特別。ただし、二度と危険なことには関わらないようにするって約束してくれ、壱夜」
「……はい」
不良たちが空き地から逃げて行ってから、10分ほど経った後。
現場にやって来たのは、神楽くんの義兄の衛佑さんだった。
座ったまま何も喋ろうとしない紅月くんに代わって、壱夜くんが経緯を全て説明。
“あまり大ごとにして欲しくない”という壱夜くんと神楽くんの願いを汲んで、穏便に処理をしてくれるようだ。
「それじゃあ、俺は署に戻るから、みんな…気を付けて家に帰れよ?」
柔らかい笑顔を私たちに向けた衛佑さんは、足早に空き地を出て行った。