初恋のキミは最愛ヒーロー
「だけど、3ヶ月前にユウキとケイタに偶然再会して、今の不良グループに入った時は嬉しかった。再び居場所を手に入れることが出来たから。それなのに…」
ドスンと鈍い音が響く。
紅月くんは、地面に拳を叩きつけていた。
「アイツらは金目的で俺をグループに誘ったとか、実は邪魔者扱いしてたとか。その上、さっきは黒河内と一緒にボコボコにされそうになるし。訳分かんねぇよ」
「紅月くん……」
「いつまでも突っ立ってないで帰れよ!俺のことは放っておいてくれ」
温度のない眼光が向けられる。
こういう時、本当は…そっとしておいた方がいいのかもしれない。
だけど……
私は、紅月くんの傍まで足を進めると、その場にしゃがんだ。
「放っておけないよ」
「は…?」
「帰る家がない…って言ってる紅月くんを置いて帰るなんて、そんなの無理に決まってるじゃない。今日は夜の冷え込みも厳しいらしいし、こんなところにいたら、風邪ひいちゃうよ…」
真っ直ぐ目を見て訴えると、冷ややかな視線と共に、盛大な溜め息が返ってきた。