初恋のキミは最愛ヒーロー
「あのさ、俺…碧瀬さんを襲おうとした前科があるわけだし、そんな男を軽々しく泊めようとするなんて、どういう神経してんの?」
ああ、なるほど…。
それで、壱夜くんたちも驚いてたのか。
「あの時と今とじゃ状況が全く違う。紅月くんは、私を襲ったりなんかしないよ」
そもそも、あれは壱夜くんへの復讐のためにやったことなんだし。
「だから、紅月くんさえ良ければ…」
「ダメだ、却下」
即答したのは紅月くん…じゃなくて、なぜか壱夜くんだった。
「どっ、どうして…?」
「前科云々の話じゃなくて、もっと根本的なところを考えろよ」
「えっ…?」
「よく知りもしない男を家に泊めるとか、有り得ねぇだろうが」
「大丈夫だよ。紅月くんは見ず知らずの人ってわけじゃないんだし…」
最もなことを言ったはずなのに、なぜか不機嫌そうな表情の壱夜くん。
私たちのやり取りを聞いていた神楽くんは吹き出すように笑った。