初恋のキミは最愛ヒーロー

「あのさ、俺…碧瀬さんを襲おうとした前科があるわけだし、そんな男を軽々しく泊めようとするなんて、どういう神経してんの?」


ああ、なるほど…。


それで、壱夜くんたちも驚いてたのか。


「あの時と今とじゃ状況が全く違う。紅月くんは、私を襲ったりなんかしないよ」


そもそも、あれは壱夜くんへの復讐のためにやったことなんだし。


「だから、紅月くんさえ良ければ…」


「ダメだ、却下」


即答したのは紅月くん…じゃなくて、なぜか壱夜くんだった。


「どっ、どうして…?」


「前科云々の話じゃなくて、もっと根本的なところを考えろよ」


「えっ…?」


「よく知りもしない男を家に泊めるとか、有り得ねぇだろうが」


「大丈夫だよ。紅月くんは見ず知らずの人ってわけじゃないんだし…」


最もなことを言ったはずなのに、なぜか不機嫌そうな表情の壱夜くん。


私たちのやり取りを聞いていた神楽くんは吹き出すように笑った。


< 189 / 436 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop