初恋のキミは最愛ヒーロー
「莉彩ちゃん、いくら何でも無防備すぎでしょ。もうちょっと危機感と警戒心を持たないとダメだよ」
前に、壱夜くんから危機感が足りないと怒られたことはあるけど、紅月くんを泊めるのって、そんなに危険なことなのかな…?
疑問符を浮かべていると、神楽くんが苦笑した。
「ま、まあ…いいや。とりあえず、壱夜が言うように莉彩ちゃんの家に泊める案は却下ね。壱夜は病み上がりだし、今日は俺の家に泊まっていきなよ、紅月」
ポンと紅月くんの肩を軽く叩いた神楽くんは柔らかい笑みを向ける。
そ、そっか…。
男同士の方が、かえって気兼ねせずに泊まれるかもしれないよね…。
心の中で頷いていると、紅月くんは鬱陶しそうに溜め息を零しながら立ち上がった。
「っていうかさ、アンタらに“泊めて欲しい”なんて懇願したわけじゃねぇのに、勝手に話を進めんなよ。親しいわけでも無いのに友達ヅラすんな」
4人の間に沈黙が流れる。
頑なに拒まれてるけど、ここで引き下がるわけにはいかない。
紅月くんを一人にしちゃいけない気がするから。