初恋のキミは最愛ヒーロー
「あのウェーブかけてる茶髪の男の子、めちゃくちゃカッコいいんですけど!」
「どっかのモデル?それとも、まだ無名の若手俳優とかかな?」
傍の座席から聞こえてくる女の人たちの声。
「あれ、春稜(シュンリョウ)高校の紅月玲音じゃない?」
「本当だ!うわ、本物見るの初めて。すっごくカッコいい~」
「私も春稜に進学すれば良かったな…」
別の座席からも小声の会話が飛んでくる。
こちらは、他校の女の子たちのようだ。
前に紫葵ちゃんが言ってた通り、紅月くんの人気って私たちの高校だけにとどまらないんだな…。
そのモテっぷりに圧倒されていると…
「7組の王子を日曜日にも見れるなんて、ラッキー」
「私服姿、もはや神レベルでしょ」
「目が潤うよね、マジで」
今度は、ハッキリと聞こえるようなボリュームの声が耳に届く。
チラチラと見回すと、車両の真ん中のドア付近に立っている二人組の女の子たちが、嬉しそうに玲音くんの方を見つめていた。