初恋のキミは最愛ヒーロー
「ごめんね、莉彩ちゃん。余計な心配かけちゃって」
「ううん、私の方こそ…ごめんね」
楽しい雰囲気を台無しにしてしまった…。
申し訳なく思いながら肩を落としていると、突然…壱夜くんのスマホの着信音が鳴り出した。
「ん?父さんから電話か」
と言いながら、特にアクションを起こさない壱夜くん。
「電話、出ないの?」
「多分、近況連絡だと思う。長期出張の時は、定期的に電話してくるから。また後で掛け直すから別に……」
「だっ、ダメだよ!!今、ちゃんと電話に出て!!」
思わず、口から荒々しくて大きな声が飛び出す。
ベンチに座っていた3人は一斉に驚きの表情を浮かべた。
「あ、えっと……」
何とも言えないような異様な空気になってしまい、私は慌てて笑顔を繕った。
「ほ、ほら……何か緊急の用事で連絡してきたのかもしれないし、電話に出て話を聞いた方がいいと思うよ?私たち、ちょうど休憩中なわけだし…。ね?」
「……分かったよ」
渋々といった感じで立ち上がった壱夜くんは、私たちから少し離れた場所まで歩くと、電話に出て話を始めた。