初恋のキミは最愛ヒーロー
会話は聞こえないけど、壱夜くんの表情を見る限りでは、急を要することでは無さそう。
さっき言ってた近況連絡っていうものだろうな…。
良かった…。
「碧瀬、そこに座ったら?ずっと立ちっぱなしだと疲れるだろ」
さっきまで壱夜くんが座っていたところを、玲音くんが指差す。
「ううん、私は平気。そうだ、何か飲み物でも買ってくるよ」
気温上がってきたし、水分補給も大事だよね。
桃舞くんも、少し気分が良くなるかもしれないし。
「……だったら、俺も一緒に行く」
スマホをジーンズの後ろポケットに入れると、玲音くんがゆっくりと立ち上がった。
「えっ、私一人で大丈夫だよ?」
「アンタ、危なっかしいから。色んな意味で」
それって、今日の電車内でのハプニングのことかな…?
思い出したら、またドキドキしてきちゃったよ。
熱くなった頬を両手で仰ぎながら、先に歩き出した玲音くんの後を追いかけた。