初恋のキミは最愛ヒーロー
ざわつく教室内。
注がれる視線に緊張しながら、先生と一緒に教壇に上がった。
「みんな、おはよう。冬休み前に話していた通り、今日から、このクラスに新しい仲間が増えることになった。それじゃあ…碧瀬、簡単に挨拶してもらってもいいか?」
「は、はい」
先生が黒板に私の名前を書く。
しーんと静まり返った空間に、口から心臓が飛び出しそうだ。
物珍しい感じで思いっきり見られてる……。
気を緩めたら膝から崩れ落ちそうだけど、ここは頑張って持ちこたえなくちゃ。
明るく元気に…。
そして、笑顔で…。
「初めまして、碧瀬 莉彩です。宜しくお願いします」
深々と頭を下げる。
声は震えたし、笑顔は引きつり気味だったに違いない。
でも、聞こえてきたのは柔らかな拍手の音。
顔を上げると、“こちらこそ、よろしくね”という温かい言葉まで飛んできて、私は胸がいっぱいになった。