初恋のキミは最愛ヒーロー

あれは、小1の夏休み。


家族3人で母さんの実家に行った時のことだった。


『壱夜、やめた方がいいんじゃない?』


『やだ!お祭りに行く!!』


『でも、ちょっと咳が出てるでしょ?やっぱり、家で花火を見よう?』


『いやだ!ぜったいに行きたい!』


心配そうな表情を浮かべる母さんに、俺は首を左右に振って食い下がった。


小さい頃から体が弱くて、体調も崩しやすく、遠出の外出なんて殆どしてこなかった俺。


この時の夏休みは珍しく体調が良かったこともあって、母さんの実家に初めて遊びに来たっていうのに。


環境が変化したことが影響したのか、風邪気味になってしまったのだ。


いつもみたいな近所のお出かけや買い物なら諦めて、大人しく家で過ごす。


でも、せっかくの遠出旅行。


しかも、楽しみにしていた夏祭り。


ここまで来て、行けなくなるなんて、絶対に嫌だった。


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