初恋のキミは最愛ヒーロー

そして、夕方。


俺は、父さんと母さんに連れられて、夏祭り会場になっている近所の大きな河川敷へ。


わりと有名な花火大会らしくて、既にたくさんの人で賑わっていた。


『壱夜、お母さんの手…しっかり握っていてね』


『うん!』


父さんは花火の場所取りに向かい、俺は母さんと一緒に屋台を見て回ることに。


活気ある屋台の数々。


独特の賑やかな雰囲気に、心が思いっきり弾んだ。


ヨーヨー釣りや輪投げにも初挑戦したりして、楽しい時間を過ごしていた。


だけど……


そんな最中、俺は母さんとはぐれてしまった。


母さんが、みんなで食べる焼きそばを買うために、繋いでいた手を離した時、俺が勝手にその場から離れたのが原因だ。


“傍に居てね”と言われたのに。


他の屋台が気になってしまって、母さんが店員とやり取りをしている間に興味本位で見に行ってしまったのだ。


ちょっとだけ見て、直ぐに引き返そうと思っていた。


だけど、混雑する人の群れの中、どこに戻ればいいのか分からなくなってしまったんだ。


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