初恋のキミは最愛ヒーロー
『………っ…』
声にならない声が出るほど、体に走った痛みは強かった。
手から提げていた水ヨーヨーも地面に叩きつけられた衝撃で割れて、やるせない気持ちに唇を噛み締めた時…。
『ちょっと!!何やってるの!?』
慌てたような声に視線を上げると、俺と男たちの間に割りいるようにして、一人の女の子が立っていた。
朝顔柄の鮮やかな浴衣を着た、同い年ぐらいのショートヘアの女の子。
これが、彼女との出会いだった。
『お前、誰に向かって口聞いてんだよ』
『何もしてない男の子を突き飛ばすなんて最低!!あやまりなさいよ!』
正直、すごいと思った。
自分より年上の、しかも柄の悪い奴らに対して、臆することなく言葉をぶつけるなんて。
あの頃の俺には、そんな度胸が無かったから、余計に眩しく見えたんだ。
『お前、女だからって生意気な口叩いてんじゃねぇぞ』
『ぶっ飛ばされてぇのか?』
男二人に睨まれても、俺を庇うように立ち続ける彼女。
心からカッコいいと思った。