初恋のキミは最愛ヒーロー
「芝生のところで探してた時に、ガラス片みたいなもので切っちゃったみたいで…」
手の平の親指の付け根の辺り。
切り傷があって、血が滲んでいた。
「絆創膏…今日は持って来るの忘れちゃったから、とりあえずティッシュをあててたの。でも、これぐらい大したことないから、大丈夫だよ!」
いやいや、そんなわけねぇだろ。
痛いはずなのに、いつもみたいに明るく笑う碧瀬の右腕を掴んだ。
「行くぞ、医務室」
「えっ!?別に行かなくても平気だよ?それよりも、桃舞くんと玲音くんに電話を……」
「今は、お前のケガの手当てが優先だ。早く消毒して、絆創膏貼った方がいい」
ビックリしている碧瀬の手を引いて歩き出した。
俺、なんでこんなに碧瀬のこと心配してんだろ。
ケガの原因を作ったのが俺だから…ってのは、もちろんあるけれど、それだけじゃ収まらないような…
掴みがたい感覚…。
なんなんだ、これ…。