初恋のキミは最愛ヒーロー
「キーケースが落ちたのは、故意じゃなくて偶然!私は壱夜くんのキーケースを捜索中に、勝手に自分でケガしただけなんだから、壱夜くんが自分を責める要因は、どこにも無いよ!」
身ぶり手ぶりで話す私に、壱夜くんはフッと笑う。
ほぼ苦笑に近いけど。
「お人好しなヤツ」
「ち、違うよ!このケガは本当に私の不注意だし…」
「とにかく、大ケガじゃなくて良かった。遊園地に遊びに来たのに嫌な思いさせて悪かった」
結局、謝らせてしまった…。
そんな風に思ってなんかいないのに。
「こんなの、ケガした部類に入らないよ!全然へっちゃらだから!」
「んな訳ねぇだろ。出血してたんだし」
「私が気合いを入れれば、一日で完治しちゃうよ」
左手を大げさなぐらいに上下左右に振って、平気っぷりを訴えると、壱夜くんは呆れ顔で笑った。
「すげぇポジティブ発言」
「そう?」
「変わってるっていうか、普通じゃないっていうか…」
これって、完全にウザがられてる…?
大丈夫だよアピールが過剰だったかな…。