初恋のキミは最愛ヒーロー
「あ、えっと……軽く運動してただけだよ」
「そんなにニヤニヤしながら?何の運動だよ、それ」
おっしゃるとおりです。
おかしな説明であることは百も承知だけど、”私の告白をOKしてくれる壱夜くんの姿を妄想してた”なんて、恥ずかしくて言えない…。
「…………」
なんだか、ものすごく不審そうな目で見られてる。
まさか、心の中を見抜かれてたりしないよね…!?
注がれる視線に耐えられず、目を泳がせた。
「お前、もしかして……他にもケガしてるところがあるんじゃねぇの?」
「えっ…!?」
「だって、あまりにも行動が不自然すぎる」
そういう解釈!?
予想外だった私は瞬きを繰り返した。
「いや、ないない!他にケガしてる箇所なんてないよ」
「そのアタフタしてるところが怪しい」
壁に凭れていた壱夜くんが、私の傍にやって来て疑いの眼差しを投下する。
左手以外、ケガしてないのは本当なのに…。
心配してもらえるのは嬉しいけど、ここは、ちゃんと疑惑を晴らさないと…!