初恋のキミは最愛ヒーロー
「大丈夫だよ、私!」
ソファから勢いよく立ち上がる。
「ほら!このとおり、ケガしてるのは手だけ……」
その場で一回転しようとした時。
「わっ……!!」
途中で足が縺れてしまい、体の重心がソファとは逆方向にグラリと傾く。
床に体を打ち付ける…と思って目を瞑ったけれど、なぜか感じない痛み。
ん……?
疑問を抱きながら目を開けると、視界に端正な顔を歪めた壱夜くんが映った。
「………いってぇ…」
「う、うそ……」
体を張って抱きとめてくれたの…?
だから、衝撃も痛みも無かったんだ…。
「……ったく、何やってんだよ」
「ごっ、ごめん……!」
慌てて壱夜くんから離れて背を向ける。
ビックリした…。
バクバクと鳴り響く心臓の辺りに手をあてる。
かっ、体が思いっきり密着しちゃったよ…。
まだ残っている感覚に、全身が火に包まれているかのように熱くなっていく。
間違いなく、顔は真っ赤だ。