初恋のキミは最愛ヒーロー
「いや、あれは……俺じゃなくて、女の子から貰ったものらしいんだ」
「女の子…?」
「小さい頃に、近所のイベントで出会った子だって言ってた。アイツの初恋の女の子らしいよ…」
一瞬、周りの時間が止まってしまったかのような感覚が襲った。
そっか、初恋…。
そ、そうだよね。
もう高校生なわけだし、これまでに初恋を経験したことがあっても何ら不思議では無い。
今まで、他の女の子と話す場面自体を殆ど見たことがなかった上に、壱夜くん自身、流れていた噂のこともあって、周りの人を遠ざけている印象があった。
だから、まだ恋をしたことはなさそう…なんて、心のどこかで決めつけていた。
でも、それは私の勝手な思い込みでしかないもんね…。
貰ったストラップかぁ…。
あんなに大切に持ち続けてるってことは、壱夜くんは今でも、その女の子のことが好きなのかな…。
胸にズキリと鋭い痛みが走った。