初恋のキミは最愛ヒーロー
「あ、あの……このことは壱夜くんには内緒でお願いします。気持ちは、自分自身の言葉でちゃんと伝えたいから」
「うん、もちろん秘密にする。頑張ってね!」
「ありがとう。だけど、壱夜くんの中で初恋の女の子の存在が大きいとなると、私の恋は前途多難な気が…」
友達ポジションを脱出するのは、かなり厳しいよね…。
苦笑いする私に、桃舞くんは顎に手を添えて少し考えるような表情を浮かべた。
「それは、どうだろう…?」
「えっ…」
「その初恋の女の子、壱夜が把握してるのは名前だけで、どこに住んでるのかも分からないからなぁ…。再会できるかどうかすら微妙なんだよね」
「そ、そうなの!?近所のイベントで出会ったって言ってたから、壱夜くんの家の周辺に住んでるのかと……」
「ご近所さん…ってわけじゃないらしいよ。もしかしたら同じ市内在住かもしれないけど、隣接する市町村とか、それ以外の地域在住の可能性もあるからさ。手がかりが名前と貰ったストラップしかないだけに、厳しいよね…」
確かに、今の情報だけだと捜すのも困難。
それこそ、奇跡でも起きない限りは…。