初恋のキミは最愛ヒーロー

「……莉彩?具合悪いの?」


「えっ…」


その声にハッとして視線を動かすと、会社に行く支度をしていたお母さんが心配そうな表情で私を見ていた。


「朝ご飯、さっきから殆ど手をつけてないでしょ?それに、浮かない顔でボンヤリしてるから…」


「ご、ごめん!今のは、その……ちょっとした考え事をしてただけっていうか…」


「そうなの…?」


不安げに訊ねるお母さんに、コクコクと慌てて頷く。


「ほら、今日は始業式の前にクラス替えがあるから、今のクラスみたいに早めに馴染めるといいな…と思って」


「そっか…。新学年になる度にクラス替えがあるっていうのも大変よね」


「うん…。でも、色んな人と仲良くなれるキッカケになると思うし、新しいクラスでも明るく笑顔で頑張るよ!」


私はニコリと笑って、ご飯を口へと運んだ。


いけない、いけない。


お母さんに余計な心配を掛けないように、気を付けていたのに。


でも、上手く理由を取り繕えて良かった…。


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