初恋のキミは最愛ヒーロー
先に出勤するお母さんを見送った後、身支度を済ませた私は、お父さんの遺影の前へ。
いつもと同様に手を合わせる。
「お父さん、私…今日から高2だよ。クラス替えがあるから緊張気味だけど、新学期も頑張るね!行ってきます」
笑顔で挨拶をして、家を出た。
春休み、あっという間に終わっちゃったな…。
もう、この季節が巡ってきたんだ…。
4月…。
お父さんとの別れの季節が…。
時の流れる速さを感じながら、穏やかな日差しが降り注ぐ青空を見上げる。
柔らかな風の中、ほんのり漂ってくる桜の匂いに胸が痛むのを感じていると…
「莉彩、歩道のど真ん中で突っ立ってんじゃねぇよ。完全に進路妨害なんだけど」
聞き覚えのある声。
私の鼓動がドクンと跳ね上がる。
直ぐに振り向くと、眠たそうな表情を浮かべる壱夜くんの姿が飛び込んできた。
「えっ!?あっ、壱夜くん!!なんで、ここに!?」
「学校に行くからに決まってんだろ」
で、ですよね…。
私としたことが、動揺のあまり、分かりきったことを聞いてしまった…。