初恋のキミは最愛ヒーロー
「っていうか、俺…冬休み明けにも同じような状況で莉彩に注意した記憶があるんだけど」
「そう言えば、そんなことがあったような……」
「うろ覚えかよ」
「でも、まあ…歩道の真ん中に立ってたおかげで、休み明け初日に壱夜くんの元気そうな顔が見れたから、良かったよ!」
「……何だそれ」
うっ、鼻で笑われた…。
呆れられてる感が半端ない。
壱夜くんに恋愛対象として意識してもらうどころか、印象パラメーターを下げてる気がする。
ガクリと肩を落として項垂れていると…
「………お前も、元気そうじゃん」
えっ…!?
呟かれた思わぬ言葉に顔を上げると、少し口元を緩めて笑みを浮かべる壱夜くんが視界に映る。
目が合った途端、ダルそうな顔で視線を逸らされてしまったから、ほんの一瞬だったけど…
優しげな表情を見れた私は、幸せ者だ。
「うん、元気!壱夜くんと会ったら、もっと元気になったよ!」
「はいはい」
軽くあしらって学校へ向かおうとする壱夜くんの隣に並んで、私も歩き出した。