初恋のキミは最愛ヒーロー
「ほら、始めるぞ」
「ありがとう…!」
「礼を言う暇があるなら、頭を働かせてペンを動かせ」
「う、うん」
口調は冷たいけど、やっぱり壱夜くんは優しいな…。
絶対に面倒くさいはずなのに、オロオロしてる私に手を差し伸べてくれるんだから。
「なあ、お前………」
「ん?」
「………いや、何でもない。んじゃ、このページの問1だけど…」
壱夜くん、何を言おうとしたのかな?
途中で止められると、その先が気になる…。
だけど、今は自習課題を終わらせることを優先させなくちゃ…。
私は頭の中を勉強モードに強制的に切り替えた。
その後、壱夜くんのスパルタ的なサポートにより、何とか授業時間ギリギリで課題をクリア。
集中して取り組んだとは言え、まさか時間内に終わらせることが出来るなんて、自分でもビックリだ。
「じゃあ、俺は用事あるから帰るわ」
「あっ、ありがとう!またね」
課題ノートをクラス委員に提出した壱夜くんは、さっさと教室を出て行ってしまった。