初恋のキミは最愛ヒーロー
「あっ、私…用事があるから早く帰らないと。それじゃあ、碧瀬さん…また明日!」
橘さんがスクールバッグを肩に掛けて、慌ただしく教室を出て行った後、私もコートを着てマフラーを巻いた。
私も、帰ろう…。
足取り軽く教室を出た。
さっきまで感じていた胸の痛みも苦しさも切なさも、嘘のように消えて、今は…少しホッとした気持ち。
きっと、橘さんの好きな人が、ヨルさんじゃなかったからだろうな…。
こんなに心境の変化が起こるなんて、自分でもビックリしてしまう。
「初恋、かぁ…」
頭に浮かぶヨルさんの姿に、胸が高鳴る。
この恋、実らせたいな…。
そのためにも、どんどん話す機会を作って、仲良くなるのが近道だよね…。
距離を縮められるように、頑張らなくちゃ…。