初恋のキミは最愛ヒーロー
私も帰ろうかな……。
今にも雨が降ってきそうな感じだし。
浮かない気分で帰り支度をして校舎を出る。
暫く歩いたところで、バッグに入れていたスマホのバイブが震え始めた。
「もしもし?」
『莉彩、急にごめんね』
電話の相手はお母さんだ。
「ど、どうしたの?」
『実は、出張先で仕事のトラブルが発生しちゃって、処理にまだまだ時間が掛かりそうなの。出来れば今日中には帰りたいんだけど、もしかしたら泊まりになるかも…』
「そ、そっか…」
『莉彩、一人で大丈夫…?』
心配そうなお母さんの声に、ドクンと鼓動が波打った。
「だっ、大丈夫に決まってるでしょ!私、もう高2なんだし、いつもお母さんが仕事で遅い日は、一人で過ごしてるんだよ?」
『でも、今日は……』
「私なら大丈夫!それよりも、お母さん…あまり無理し過ぎないでね」
『ありがとう。じゃあ、またね』
電話が終わった後、私は灰色の空を見上げた。