初恋のキミは最愛ヒーロー
嘘、ついちゃった…。
でも、お母さんは仕事なんだから本音を言って迷惑かけるのは嫌だもんね…。
心の中で呟きながら、トボトボと歩く。
家に私一人だけか…。
……帰りたくないな。
ふと立ち止まって振り向くと、通り過ぎたばかりの小さな公園が目にとまる。
「………………」
気付けば、私の足はそちらに向かって動き出していた。
誰もいなくて静まり返った公園。
ブランコに腰を下ろして、ボンヤリと景色を眺める。
このまま、しばらくここで……。
出来れば、明日の朝まで……。
鎖を強く握りしめながら、ブランコを少し漕いでみたり、ピタリと止めてみたり…。
ザワザワと落ち着かない気持ちのまま、なんとなく時間を潰していた時だった。
「……お前、こんなところで何してんだよ」
突然、降ってきた聞き覚えのある声。
そして、見慣れた制服。
ゆっくり顔を上げると、傘をさした壱夜くんが眉を寄せながら私を見下ろしていた。