初恋のキミは最愛ヒーロー
突然、背後から左肩を掴まれる。
体が後ろに仰け反りそうになるのを必死に堪えた。
「俺らの存在、無視する気?」
威圧感たっぷりの声に、嫌な汗が背中をつたう。
振り向くことが出来ずにいると、あっという間に周りを不良たちに囲まれてしまった。
「ちょうど退屈してたとこなんだよね、俺ら」
「いい遊び相手、見つかったな~」
「女と遊ぶの久々じゃね?」
ケラケラと笑う男たち。
“退屈してるなら、こんなところで話なんかしてないで家に帰ってご飯食べて寝たら?”なんて、口が裂けても言えなくて、黙って俯く。
「へー、わりと可愛い顔してんじゃん」
「本当だ。今日の俺らツイてるな」
私からすれば不運の一言に尽きる。
この状況を打破するための解決策を考えなくちゃ。
「なあ、せっかく良い暇つぶし見つけたわけだし、場所変えようぜ?」
そうだ……。
いきなり大声を出せば怯むだろうから、その隙を突けば逃げられるかもしれない。