初恋のキミは最愛ヒーロー
キミの本当の名前は…
お昼過ぎの温かい日差しに照らされた帰り道。
今朝、ヨルさんに案内してもらったから、もう迷わないはず。
明日も朝から通学路で会えるといいな。
銀杏並木の商店街を歩いていた時、数メートル先の店から出てきた人物に、心臓がドクンと跳ねた。
ヨルさんだ…!
後を追いかけるものの、ヨルさんの歩くスピードは速くて、どんどん彼の背中は小さくなっていく。
こうなったら……
「……ヨルさんっ!!」
お腹いっぱい息を溜め込んで、大きな声で呼んでみる。
すると、前方を歩いていたヨルさんの足が止まった。
遠目だからよく分からないけど、こっちを睨んでるような気が……。
とりあえず、止まってくれてるから追いつこう。
白い息を吐きながら走る。
傍までやって来ると、ヨルさんは不機嫌極まりない顔をして私を睨んでいた。
「何なんだよ、一体。こんな人通りの多い場所でバカでかい声を出して、恥ずかしくないわけ?」
やっぱり、怒られた…。
予想はしてたけど…。