初恋のキミは最愛ヒーロー
桜の下でお昼ご飯を食べるの、楽しみ…!
お父さんとお母さんと、いっぱいお喋りして笑って、素敵な時間を過ごすんだ。
胸を踊らせていた時、突然リビングの電話が鳴った。
『知らない番号。セールスかしら…』
少し渋りながらも受話器を取ったお母さん。
『もしもし。はい、碧瀬です』
固い声で受け答えをしている姿を見ていると、その表情がみるみるうちに青ざめていく。
『えっ、うちの主人が…!?は、はい………。わ…分かりました。直ぐに行きます……』
声を震わせながら会話を終わらせたお母さんは、力なく受話器を置いた。
『駅に行くの?』
様子がおかしいのを不思議に思いながら訊ねると、私に視線を向けてフルフルと首を横に振った。
『………駅じゃなくて、病院に行かなくちゃ。莉彩も出掛ける準備して?』
『病院……?』
『お父さんが……事故に遭ったみたいなの………』
『………………』
じこ…?
お父さんが…?
頭や心を、鈍器で思いっきり殴られたような感覚が襲った。