初恋のキミは最愛ヒーロー
「戻れるなら、スノードームが壊れたあの日に戻りたい…って、何度も思ってきた」
叶わない願いだと分かっているけど、それでも私は…
「なあ、莉彩」
静かに聞いていた壱夜くんは、表情に疑問の色を滲ませていた。
「今の話を聞いてると、お前の言葉が事故の引き金になってるとは思えないんだけど」
「えっ?」
「だって、交通事故は偶発的なものだろ?父親に言い過ぎちまったとしても、それが原因ってわけじゃ……」
「ううん、私のせいだよ」
壱夜くんの言葉を遮って否定する。
降り続ける雨は、激しさを保ったままだった。
「お父さん、会社から帰宅する途中に、ボールを追いかけて道路に飛び出した小さな女の子を助けて、車にはねられたの。女の子は、お父さんがしっかり抱き締めてたこともあって、奇跡的に軽傷だった」
「…………」
「お父さんが事故に遭った道って、普段は通ることのない場所だったんだ。いつも利用してた会社の最寄駅とは逆方向だったから」
「それって、どういう…」
「スノードームを買いに行こうとしてたの」
声が小さく震える。
目頭が熱くなっていた。