初恋のキミは最愛ヒーロー
自分のこと、大事にしろよ
【壱夜side】
「……莉彩?」
「……………」
返事の代わりに聞こえてきたのは、小さな寝息。
さっきから、だんだん泣き声が弱くなってると思ってたんだよな。
疲れて寝ちまったか。
ゆっくりと体を離して、ソファーに莉彩を横たわらせた。
頬に残る涙の筋。
腫れた瞼。
かれこれ5時間以上、泣き続けてたもんな。
眠る彼女は、何だか悲しそうな表情をしているように感じた。
まさか、コイツも過去の出来事に対する後悔を抱えて、ずっと自分を責め続けてたなんて…。
普段は鬱陶しいぐらい明るいくせに。
でも、最近は違ってたからな。
表情が雲ってる時も度々あった。
莉彩は、上手く“いつも通り”を演じてたんだろうけど、全然隠せてなかったし。
あ…。
そう言えば、あの時も…。
莉彩の様子がおかしかったっけ。
みんなで遊園地に行った日のことが頭の中に蘇っていた。