初恋のキミは最愛ヒーロー
朝日が照らす景色が眩しくて目を細める。
雨は止んでいて、見上げた空には虹が架かっていた。
「虹を見るの、久しぶりかも…」
少しの間ボンヤリと眺めていると、コーヒーの薫りが漂ってきて…。
振り向くと、壱夜くんが両手にコーヒーカップを持って、私の傍にやってくる姿が映った。
「なんで、こんなところで突っ立ってんだよ」
「カーテン開けたら、綺麗な虹が架かっていたから、見入っちゃって」
「明け方まで降り続いてたからな。ようやく晴れたか」
えっ…?
それって…
「壱夜くん、もしかして…一晩中ずっと起きてたの?」
さっき、大きな欠伸しながらリビングに入ってきていたし…
すごく眠そうな顔してる。
「別に起きてたわけじゃなくて、眠れなかっただけ」
「ごめんね。私がずっと泣いてたから…」
「お前のせいじゃない。俺が勝手に考え事していて、寝つけなかったってだけの話だから」
「本当に…?」
「ああ。ったく、そんな心配そうな顔すんな」
私が頷くと、壱夜くんは空を見上げた。