初恋のキミは最愛ヒーロー

「俺も、虹を見るのは随分久しぶりな気がする」


「そっか…。まあ、なかなか見れないもんね」


私も、空に架かる虹へと視線を向けた。


「あんな風に大泣きして、お父さん…きっと心配してるだろうな。いつも、出来るだけ笑顔でいることを心掛けてたのに…」


「俺は、心配っていうよりも安心してるんじゃないかって思うけど」


「安心…?」


そんな言葉が返ってくるとは思ってなくて、驚いてしまった。


「だって、楽しいことばかりの毎日なんてないだろ?それなのに、笑顔だけ見せられたら逆に心配になる。無理してるんじゃないか、何か辛いこと我慢してるんじゃないか…ってさ」


「そっか。うん、そうかもしれないね」


天国から見守ってくれてるお父さんには、余計な心配をかけたくなくて…


酷いことを言ってしまったあの時のように、悲しげな顔をさせたくなくて…


笑顔で頑張ってる姿を見てもらいたいと思った。


辛くても苦しくても、できる限り泣かないようにしようと思った。


でも、それは…かえってお父さんを不安な気持ちにさせてしまうだけだったのかもしれない。


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