初恋のキミは最愛ヒーロー
「んで、心ここにあらずだった原因は?」
「えっ」
「この前みたいに、一人で何か抱え込んでるわけじゃねぇよな?」
真っ直ぐな視線を向けられて、体がピクリと跳ねた。
「ち、違うよ!そういうことじゃ……」
いや、あながち間違ってもいないか。
壱夜くんへの想いを、本人に伝えられずに心の中に抱えてるわけだし。
「言葉に詰まるってことは、やっぱり…」
「だっ、大丈夫!考え事してたのは事実だけど、壱夜くんが想像してるようなものとは違うから」
「ふーん、ならいいけど」
少し怪訝そうな顔してるけど、納得はしてくれたみたい。
こればかりは、壱夜くんに相談ってわけにはいかない。
私が頑張って告白するしかないんだから。
改めて自分を奮い立たせながら、ペンケースやノートをバッグに放り込む。
既に帰り支度を済ませていた壱夜くんと一緒に教室を出た。