初恋のキミは最愛ヒーロー

「そういえば、今日の最後の授業ってLHRだったよね?」


「だったら、何だよ」


「6月の文化祭のクラスの出し物を決める時間だったと思うんだけど、私たちのクラスって何をやることになったのかな…って」


「はぁ!?」


帰り道の途中。


私が話を切り出すと、壱夜くんは、何を言い出すんだコイツと言わんばかりに顔をしかめた。


「お前、多数決に参加してたくせに記憶にないのかよ」


「考え事しながら無意識にというか、反射的に手を挙げてたんだと思う。だから結果は聞いてなくて」


アハハ…と苦笑いしながら人差し指で頬を掻く。


壱夜くんは呆れたようにため息をついた。


「縁日」


「へぇ、縁日になったんだ!教えてくれてありがとう!」


クラスの文化祭実行委員が出し物についての希望をみんなに聞いているところまでは記憶にある。


ということは、LHRの殆どを壱夜くんのことを考える時間に費やしてたのか。


重症の域だよね、これって。


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